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土筆の味


父方の叔母が89歳で亡くなったという知らせがあった。

家族葬ということだったが、

弟は通夜に行くというので車に便乗させてもらった。


私は家族ではないから焼香だけでもというつもりだったのだが、

叔母と叔父の兄弟姉妹、甥姪たちも来ていて、既に座っていた。

父は兄弟が多かったので結構大人数。

結局、通夜式の最後まで参加になってしまった。

家族葬の家族って、どこまでが家族なんだろ・・?


それで、

本当に久しぶりに会う従姉妹たちに、

ついコロナ禍を忘れて肩を叩きながら近くでおしゃべり。

あっちでもこっちでも。

従姉妹はみんなテンションが似ている。


この葬儀場でのクラスターは聞かないのでたぶん大丈夫だろうけど、

お葬式でもぜったい我を忘れてしゃべってしまうので、それには行かないことにした。

椅子がくっついていたのも気になった。



亡くなった叔母は父の弟の配偶者で、


ずーっと昔、

叔母の家の外の土手に土筆がいちめんに生えていて、

従姉妹と私は夢中になってそれを摘んだ。

山盛りになった土筆を叔母と私たちで頭とハカマを取り、

そしてそれをフライパンで炒めてくれた。

ごま油の香りの土筆、それはそれは美味しかった。


母や他の伯母たちはそんな面倒な料理を作ったりはしないので、

私は土筆が食べられるということを初めて知ったのだった。


もう60年ちかく経つのに、その時のこと、

とくに味は鮮明に覚えている。


通夜の時の話では、叔母はお料理が得意だったそうだ。



叔母が亡くなり、

今は土手いちめんの土筆もない。






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      梅雨の景色

          手前は池ではなくて水田だと思う。


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