クリスマス
クリスマスは終わったけど、
クリスマスの思い出というのがある。
街はジングルベル
キラキラ輝いていた。
幼い私が父に連れられて行ったその店には、
クリスマスツリーがいっぱい飾られていた。
ツリーを売ってる店だった。
当時の大阪の田舎にはなんにもなくて、
世の中にこんなキラキラなお店があったんだ!と、
私にとってそれは夢の世界のようだった。
「どれでも好きなだけ選んだらええ。」
金や銀の玉、モールで作ったサンタやステッキ、
ツリーを飾る色とりどりの小物たち。
しゃがんであれもこれもと選んだことを覚えている。
本当に夢じゃないかと思った。
大人になってわかったけど、そこは難波の道具屋筋だったんだね。
たまにその辺りを通ると、一瞬幼い日の私がよみがえる。
当時の目線は父のグレーのコートのポケット辺りで、
父の表情は記憶にはないが、
子供の私が嬉々としてツリーの飾りを選ぶ姿を見ている時の、
父の気持ちになっている私がいる。
そして昨年、母はクリスマスの日に逝ってしまい、
いろんな思いが駆け巡る。