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「まんぷく」の世良さん


オサムさんの話。

BSで再放送してる朝のドラマ「まんぷく」。

桐谷健太演じる世良さんを思い浮かべてくださいね。


私は8歳か9歳ぐらいの子供だった。

オサムさんは図々しい人で、突然やってきては家に上がり込んだりする。

私は嫌いだった。

親戚の人だと思っていたが、ずっと後になって、彼は行商人だということを教えてもらった。

軒並み織物業をしていた我が町の製品を売りに歩いていたらしい。

あんな感じの人だったので、私は真っ当な人ではないんじゃないかと思ったりもしたのだが・・


ある日、私と弟は火鉢でお餅を焼いていた。

そこへやって来たオサムさん。

「お、うまそうやないけ〜」

勝手にお餅をひっくり返し、ちょうど焼けた頃合いのお餅を自分の口に・・

「あ〜」


と思ったら、おもむろにジャンパーのポケットから新しいお餅を出して

網の上に乗せたのだった。

「すまんすまん。

今そこで建前(棟上げ式)があって、餅放りで掴んだ餅や。これ食べてな。」

そう言って去っていった。


オサムさん、常識人やった。



別の日、オサムさんは父と雑談していた。

彼は初めて特急列車に乗ったそうだ。

「オレがあいてる席に座っとったら車掌が来て怒られたんや。

ちゃんと金払うて乗ってるのにどこがあかんのじゃって言うたんやけど。」

続けて

「指定席ちゅうのは指定券がいるんやなぁ。オレ、知らんかって。

恥ずかしいて恥ずかしいて。」


え・・・


いつも横柄なオサムさんが、恥ずかしい?


私はそんなオサムさんがちょっと可愛く思えて、

その日から嫌いじゃなくなった。


雰囲気は桐谷健太演じる世良さんそのものでした。


昔々の、ちょっと人に話したかった話です。







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成田山不動尊にて七五三。

お寺で七五三もなかなか良い。

気配りのきく若いお坊さんもよかった。


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