どん引きのプレゼント
Eさんと食事に行って聞いた話。
ある日Eさんは、デッサン教室の先輩Aさんの個展を見に行った。
感想を言わないといけない。
「あの絵が好きやわ~! ものすごく良かったわ~!」
こういう時は、お世辞、おべんちゃら言いますよね。
「そんなに気に入ってもらえたのなら、個展が終わったら差し上げます。」だって。
びっくりしたわ。
それなのに次に会ったときには、
「タダだと大切にしてもらえないから額代込で5万円で。」って言うのよ。
「え~~~」よね~
ほんとは何十万もの値段がついてるとはいえ・・・
私、ちょっとでも安く買取りたいから
「家に額があるから絵だけでいいです。」と言ったんだけどね、
「じゃあ、額代込みで4万円でいいですよ。」って。
仕方なく買い取って家に置いてあったんだけどね、
あるとき友達が来て、その絵が好きだって言うもんだからプレゼントしたの。
これ幸いよ~。
ほんとはEさん、Aさんの絵は好きではなかったらしい。
もうひとつEさんの話。
ある喫茶店に、知り合いのNさんの絵が置いてあった。
お店のママさんに聞いてみたところ、
常連客のNさんと親しくなり、
「この店に私の絵を置いて!」と言って持ってきたのだという。
それがね、前に行った時は二枚の絵が
それぞれ別の壁に立てかけてあったけど、
次に行ったら片側の壁に重ねて立ててあるのよ。
Nさんの手前、断れなくて、仕方なく置いてるみたい。
Nさんの絵も何十万のお値段が付くそうだけど、
お店の雰囲気に合わなかったのか、
もしくはママさんの好きな絵ではなかったのね。
絵にまつわる、今度は私の話。
独身時代に貰ったお誕生日プレゼント。
チョコレートと
板に描いた油絵。
私の肖像画だった。
あ・・・ありがとう・・
と一応お礼は言ったものの
(いやや!私、こんなブサイクちゃう!!)
絵って、描く人の自己満足の世界なんだなぁ。
そういえば、
私の自己満足の絵を無理やり差し上げたこともある。
達成感も満足感も味わった後なので、
もう好きな絵で額を使いまわしてもいいのよ。
ところで
あのブサイクな肖像画
「いらん!」
とも言えずに
今も押入れのず~っと奥に
たぶんあるはず。
捨てたらオトウサンに怒られるので。